3月のサイレント特集のさなかに起こった16ミリ映写機のトラブル。ゾッとしました。もう製造されていない16ミリ映写機のこととて、3台も揃えてそれなりに万全を期していたつもりだったのに。結局2台が故障して、3台目はというと、微妙に中身のつくりが違っていて、字幕投影システムとうまく同期できないとのこと。16ミリ映写機問題(僕の中では、これはかなり前から「問題」として認識しているわけですが)としては、消耗品としてのランプの調達が一番頭を悩ませていて、どのように継続的に入手できるかということが最右翼のポイントだっただけに、今回のように巻き取りモーターに不具合が生じるというのは、ショックでした。機械だから、それは色々な不具合が出てもしようがないわけですが。
ゾッとしたというのは、こうした故障・不具合について、もはや「必ず直る」という保証が全然ないことです。今回の故障についてはメーカーから部品がないから直せないといわれました。どうしたかといえば、アテネフランセの堀さんに、そのノウハウの限りを尽くして直してもらったのですが、違う不具合が起これば、それはどうなるか分かりません。こうした状況では、おそらく16ミリ上映は、もってあと5年というところでしょう。現実的には3年くらい先でもうダメかもしれない。
もっと恐ろしいことに、ウチの35ミリ映写機のメーカーが同じ3月に倒産しました。日本電子光学工業という、35ミリメーカーとしては、かなり有力なところです。シェアは知りませんが、日本全国の映画館の相当割合が、このメーカーの映写機を入れているのではないでしょうか。フィルムセンターにも、この映写機が入っているはずです。原因は、おそらくデジタルシネマ化の波でしょう。他にも35ミリ映写機のメーカーはあるので、ただちに、消耗品やメンテナンスに決定的な支障が出ることはないだろうと思いますが、しかし、今のようなデジタル化の傾向は、強まることはあれ弱まることはない以上、他メーカーもいつまで持つか分かりません。早晩、いま16ミリ映写機で四苦八苦しているような状況が、35ミリ映写機にも訪れることになります。悲観的に見ると、35ミリで映画を見られる状況は、あと10年くらいしかないかもしれない。
こう来るとは、実は正直、思っていませんでした。デジタル化の荒波の中で、映画会社が、35ミリで持っている旧作を廃棄したりしないだろうか、などと心配していたわけですが、今考えれば脳天気な心配でした。プリントはそのままそこにあっても、こちとらの上映環境自体が激変して、35ミリ上映が困難なものになっていくことに、気づいていなかったわけです。
どう対処するか、いろいろと考えるところはありますが、少なくとも「映画史上の名作」シリーズは、今後デジタル比率が徐々に高まると思います。そのあたり、どうぞご寛容のほどを。 |